はじめに
特別養護老人ホーム(以下、特養)は、介護が必要な高齢者が入所できる施設です。特養への入所を希望する方は多く、入所するまでに待機期間が発生することがよくあります。
サービス付き高齢者住宅に入所している義母が2月に、要介護4から要介護5になり、介護保険料金がアップし年金受給額との差額が大きくなったことから、特別養護老人ホームを検討することにしました。
私の母親が特養に入所たのは、特養も併設している居宅介護サービスのケアマネージャーから要介護3から要介護4になった時に、「今なら特養に入れますよと」お声掛けを頂いたので、自分で調べることもなく何も知識がないままでした。
現在の情報を集める
調べていくと、介護施設のポータルサイトが幾つかあるのですが、こう言ったポータルサイトでは、特養も一応掲載していますよと言う程度で、結局、特養に関しての情報を手に入れられたのは、厚生労働省の「介護事業所・生活関連情報検索 」でした。
ポータルサイトとの違い
一番大きな違いは、利用者負担軽減制度を利用した場合の、利用料金の施設ごとの正確な金額が記載されているところでした。
利用者負担軽減制度の4段階(限度額外)の場合は、施設ごとの義母の住む都市では同じユニット型個室の場合に最大で33,000円の開きがありました。
ラッキーだったこと
まず、入所がしやすいと言うユニット型の個室で施設の評価、地理的な問題、利用料金、を考慮して、3つに絞り込み、実際の状況はどうなのか義母の担当のケアマネージャーの方に相談しました。
絞り込んだ施設の一つに担当していた3人の方が入所したとのこと、そして何の問題もなく満足されているとのことで、おそらく半年から1年位の待ちになるのではとのことでした。
1日に3か所回ろうと思ったのですが、どの施設も見学の予約が詰まっていて同じ日には回れないことが分かったので、ケアマネージャーの方がご存知の施設に最初に見学に行くことにしました。
3月11日に見学に行ったところ、義母の担当のケアマネージャーの方が、申し込み用の必要書類一式を見学前に届けておいてくれてましたので、申込用紙に記入するだけでした。
今年に入ってお二人亡くなられて、申込用紙に記入も終わり、質問をしている時にもお一人亡くなられて、何かと手配をされていました。そんなわけで、すぐにでも入所が可能な状況だとのことでしたが、速くて半年後くらいと思っていたので、少し遅らせてもらうことにしました。(順番が回ってくるとは、そう言うことなのだと現実を目の当たりにして、ちょっと心苦しくなりました)
トントン拍子に
3月21日に担当をして頂いているケアマネージャーの方から連絡があり、3月28日に特養の担当者の方と義母に面談に行くとの知らせが入りました。
3月28日の午後に特養の担当の方から、面談の結果問題ないので入所可能との連絡があり、4月2日に契約に行くことになりました。
特別養護老人ホームに入所できるのが「要介護3以上」になって待ち人数は随分と減っているそうで、それと共に複数申込をされる方も多く、何年待ちとかは都市伝説みたいなものと担当の方は言われていました。
見学に行ってから、17日後に決まるのは良い意味で誤算でした。
特養が人気な理由
特養が人気である理由は、収入や貯蓄が少ない人でも安く入所できるという点にあります。年金などの収入が少ない場合、所得に応じて施設の食費や居住費が安くなる仕組みがあるためです。
一例として、食費・介護費用を含めた1ヶ月の費用が5万円台の特養もあります。
特養への入所要件
2016年4月以降の新規申し込みでは、原則として要介護3以上が特養への入所要件となりました。ただし、以下の4つの特例に該当する場合は、要介護1や2でも入所が可能です。
- 認知症により在宅介護が困難な場合
- 知的障害や精神障害により在宅での介護が困難な場合
- 虐待を受けていて安全が確保されない場合
- その他、家族支援が受けられず、介護サービスの供給が十分にできない特別な事情がある場合
入所順位の決め方(点数の算出基準):大阪府
特養への入所順位は、入所の必要性の高さを示す点数によって決められます。この点数は、以下の3つの評価項目から算出されます。
- 介護の必要の程度(要介護度)
- 家族の状況(単身世帯か、介護者の状況など)
- 介護サービスの利用状況
1. 介護の必要の程度(要介護度)
この項目では、要介護度が高いほど多くの点数が付与されます。例えば大阪府の場合「大阪府指定介護老人福祉施設[特別養護老人ホーム]等入所選考指針 」は以下のように設定されています。
※地域性による評価 上記の評価点に施設の所在地と入所申込者の居住地により次の点数を加算する。
- 同一市町村内 5 点
- 同一老人保健福祉圏域内又は隣接市町村内 3 点
- 要介護5:50点
- 要介護4:40点
- 要介護3:30点
- 要介護2(特別入所対象者):20点
- 要介護1(特別入所対象者):10点
2. 家族と介護者の状況
- 単身世帯:10点
- 高齢者のみ世帯で介護者が要支援以上の世帯:5点
- その他の世帯:0点
3. 許託サービスの利用状況
- 利用率 80%以上:35点
- 利用率 60%以上 80%未満:30点
- 利用率 40%以上 60%未満:25点
- 利用率 20%以上 40%未満:20点
- 利用率 20%未満:15点
- 施設入所者等の在宅サービスのみなし利用率(40%以上 60%未満):25点
これで義母の得点を計算すると、要介護5の単身世帯(60点)+ 施設入所者等在宅サービスのみなし利用率(25点)+ 同一市町村内 (5 点)
以上で評価合計点数が 90点となります
入所順位の決め方(点数の算出基準):兵庫県
お隣の兵庫県の「介護老人福祉施設・入所コーディネートマニュアル」を見てみると:
1. 介護の必要の程度(要介護度)
- 要介護5:50点
- 要介護4:45点
- 要介護3:40点
- 要介護2(認知症等あり):20点
- 要介護2(認知症等なし):20点
- 要介護1(認知症等あり):10点
- 要介護1(認知症等なし):10点
2. 家族と介護者の状況
- 身寄りや介護者が誰もいない: 20 点
- 主たる介護者が病気等で長期入院 : 20 点
- 主たる介護者が高齢又は障害者等で介護困難※ : 15 点
- 複数の要介護者がいるため介護負担が大きい※ : 15 点
- 主たる介護者が就業・育児により介護困難※ : 10 点
- その他の理由により介護困難な場合(住環境の問題等) : 5 点
- (※の項目が2以上該当するときの合計配点): 20点
3-1. 在宅サービスの利用状況
- 8割以上:30 点
- 6割以上8割未満:25 点
- 4割以上6割未満:20 点
- 2割以上4割未満:15 点
- 2割未満:10 点
3-2. 施設サービスの利用状況
- 2年以上:15 点
- 1年以上2年未満:10 点
- 6月以上1年未満:5 点
もし、兵庫県に住んでいるまたは兵庫県の特別養護老人ホームに入所しようと思えば、評価合計点数は 85点となって大阪府の時より評価点が5点少なくなってしまいます
都道府県による違い
特養の入所基準は都道府県によって異なります。例えば、大阪府と兵庫県では評価点数が異なり、介護者の状況やサービス利用状況の評価方法にも違いがあります。
そのため、特別養護老人ホームはどこでも申込をすることはできますが、入所を希望する場合は、大阪府の場合は住民票がある市町村の施設には入所しやすくなります、一方兵庫県の場合は地域による違いがないと言うことになります。
自分の居住地の入所指針を確認することが重要です。また、申し込んでから本人の状況や世帯の状況が変われば評価点数が変わるので連絡することが大切です。
最後に
特別養護老人ホームへの入所を考える際には、この選考プロセスを理解し、早めに情報収集と申請手続きを行うことが重要です。
なお、各都道府県のホームページで「特別養護老人ホーム 入所指針」で検索すると、「入所指針の評価点」の書類を見つけることができるはずです。
大阪府:大阪府指定介護老人福祉施設[特別養護老人ホーム]等入所選考指針
京都府:京都府指定介護老人福祉施設等入所指針
兵庫県:介護老人福祉施設・入所コーディネートマニュアル
滋賀県:特別養護老人ホーム入所ガイドライン
和歌山県:和歌山県指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)入所指針
奈良県:特別養護老人ホームの入所について