夫が3日入院しただけで、家が回らない。70代夫婦が今すぐ作りたい「生活の操作メモ」

まいど、酔いどれです。

「夫が3日入院しただけで、こんなに家が回らなくなるとは思わなかった」

そんな声を聞くことがあります。命に関わる大病ではありません。検査入院か軽い手術で、数日すれば帰ってくる予定だった。でも、家に残された妻は初日から困り始めた、という話です。

給湯器のリモコンにエラー表示が出た。どのボタンを押せばいいか分からない。スマホの契約はどこで、問い合わせ先の電話番号はどこに書いてあるのか。夫しか知らなかったことが、次々と壁になって現れてきます。

この記事でお伝えするのは、遺言書の話でも、相続の準備でも、終活でもありません。今日の食事、薬、ペット、連絡先。「数日だけ片方がいなくなっても、暮らしが止まらない」ための「生活の操作メモ」の作り方です。


目次

夫婦で暮らしているのに「一人しか知らないこと」が多い

ある日、夫が3日だけ入院した

検査入院や内視鏡の処置、整形外科の手術。70代になると、入院と縁が切れません。とはいえ、大ごとではない。3日もすれば帰ってくる。

そう分かっていても、家に残された側は最初の日から「あれ、どうするんだろう」という瞬間に出会います。

Wi-Fiが繋がらなくなった。テレビのリモコンが急に効かなくなった。そういう小さなトラブルでも、いつもなら夫が対応していたことが、突然「誰も分からない問題」になってしまいます。

命に関わる話でなくても、暮らしは止まり始める

電気もガスも止まっていません。通帳にお金もある。でも「操作できない」「連絡先が分からない」「手順が分からない」という壁が、一つひとつ現れてきます。

逆も同じです。妻が入院すると、夫は食事と連絡まわりで途方に暮れる。長年、妻だけが知っていた「暮らしの手順」が、突然必要になる瞬間が来ます。

70代夫婦に必要なのは、遺言より前の「生活の操作メモ」

終活も相続の準備も、いずれは必要です。でも、その前に、もっと日常に近いことがあります。

「自分がいなくなったあとの準備」ではなく、「自分が3日いなくなっても、家が困らない準備」。それが、この記事でお伝えする「生活の操作メモ」です。

長年の役割分担が、いつの間にか「見えない弱点」になる

Seikatsu operation memo 02.

夫が担当していること

70代夫婦の多くで、夫が担当していることがあります。

家電のトラブル対応。Wi-Fiの設定。電気・ガス・スマホなどの契約まわり。インターネットバンキングの操作。支払いの管理。

毎日使うわけではないけれど、「夫に聞けば分かる」で済ませてきたこと。それが、夫がいなくなった瞬間に「どうすればいいか分からない」に変わります。

妻が担当していること

一方、妻が担当していることもあります。

毎日の食事と買い物。子どもや親戚への連絡。近所づきあいのルール。家族の行事の段取り。

特に「連絡まわり」は、妻だけが把握しているケースが多い。誰に何を伝えるか、どんな順番で連絡するか、どんな言葉を使うか。夫は「妻に任せていた」で、その全貌を知らないことがほとんどです。

問題は「仲が悪いこと」ではなく「片方しか手順を知らないこと」

これは、夫婦仲の問題ではありません。長年の役割分担の結果として、自然にそうなってきたことです。

でも、その役割分担は「片方がいなくなった瞬間」に弱点になります。信頼して任せていたことが、いざというときに動けなくなる原因になる。そのことに気づかないまま、何年も過ごしている夫婦がとても多い。

まず確認したい:わが家の暮らしはどこで止まるか

Seikatsu operation memo 03.

夫がいないと妻が困ること

夫が入院したとき、妻が困ることを想像してみてください。

家電が突然トラブルを起こしたとき、どこに問い合わせればいいか。インターネットバンキングで何か操作が必要になったとき、どの銀行の、どの番号に電話すればいいか。

そして、もう一つ見落とされやすいことがあります。妻の通院に夫が車で送り迎えをしている家庭では、夫が入院した瞬間に、妻の通院手段がなくなってしまいます。タクシーでも介護タクシーでも、あらかじめ調べておかないと、診察当日に慌てることになります。

妻がいないと夫が困ること

妻が入院したとき、夫が困ることを想像してください。

私自身、お昼ごはんくらいは自分で作ることがあります。でも、毎日の食事を一人でこなすのは、続くとやはり別の話です。「なんとかなる」と思っていた1日目が、2日、3日と経つうちに「これはきつい」に変わっていきます。

そして食事以上に困るのが、連絡まわりです。誰に何を伝えるか、どの順番で、どんな言葉で。妻が当たり前のようにやっていたことが、夫にはまったく分からない。親戚づきあいのルールに至っては、妻に全部任せていた、という夫が大半ではないでしょうか。

3日で困るものと、1週間で困るものを分けて考える

すべてを一度に解決しようとすると、何も進みません。「困る順」に書く、という考え方で始めましょう。

3日以内に困ること:薬の残数と次の受診日、ペットのエサと動物病院の連絡先、食事の確保、最初に連絡すべき人。

1週間以上で困ること:通院の送迎手段、連絡まわりの全体像、インターネットバンキングの操作が必要になる場面。

「すべて完璧に書く」より「困る順に書く」。この考え方がメモを続けるコツです。

生活の操作メモ① 家電・機器まわり

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「使い方」より「困ったときの戻し方」を書く

エアコンや洗濯機の基本操作を一から書く必要はありません。それより大切なのは「困ったときにどう対処するか」です。

リモコンが効かなくなったとき、どこを確認するか。ブレーカーが落ちたとき、どこにあって、どう戻すか。Wi-Fiが繋がらなくなったとき、ルーターをどうすれば回復するか。

「元に戻す手順」だけ書いておければ、多くのトラブルは乗り越えられます。

型番と問い合わせ先は写真に撮って残すだけでよい

家電の型番や問い合わせ先を、文章で書く必要はありません。本体に貼ってあるシールや銘板をスマホで撮影して、「家電の写真」というフォルダに保存しておくだけで十分です。

型番さえ分かれば、メーカーのサポートセンターに電話したとき、オペレーターが案内してくれます。写真1枚が、長い説明文の代わりになります。

生活の操作メモ② お金・通帳まわり

通帳とカードはそれぞれが使える状態にしておく

公共料金のほとんどは口座引き落としかクレジットカードの自動払いです。数日の入院で支払いが止まることはまずありません。

ただし「自分でお金を動かせるか」は別の問題です。通帳が1冊しかなく、キャッシュカードも1枚だけだと、片方が入院した途端に現金の確保が難しくなります。

通帳は通帳レスにしない。キャッシュカードはそれぞれが自分のものを持つ。この2点だけで、短期入院のお金まわりの不安はほぼなくなります。

インターネットバンキングは「銀行名と問い合わせ先」だけ残せばよい

インターネットバンキングのIDやパスワードをメモに書くのは、セキュリティ上おすすめできません。

残すのは「どこの銀行で、困ったときの電話番号はどこか」の2点だけで十分です。複雑な手続きが必要になっても、銀行に電話すれば本人確認の上で案内してもらえます。銀行名と電話番号さえあれば、いざというときに助かります。

生活の操作メモ③ 食事・買い物

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「なんとかなる」が3日続くと、話は変わる

「料理くらいできる」という方も、毎日のこととなると話が変わります。

1日目はなんとかなります。コンビニのおにぎりと惣菜、冷凍うどん、レトルトのカレー。でも2日目、3日目と続くうちに、食事の段取りそのものが負担になってきます。慣れない台所での作業が続くと、それだけで疲れてしまう。

「なんとかなる」という気持ちは本当のことです。でも「3日続く」のは、また別の話。その備えをしておくことが、現実的な対策になります。

料理を教えるより「買えるもの・温められるもの」を決めておく

料理の手順を書いたメモより、「これを買えば食べられる」リストの方が、実際の場面では役に立ちます。

たとえば、近くのスーパーで買える弁当や惣菜の種類。冷凍食品で対応できるもの。電子レンジで温めるだけのもの。普段から「これは使える」と知っているものを書き留めておくだけでよいのです。

無理に料理を覚えてもらおうとしなくていい。「買えるものを知っている」だけで、数日は十分に乗り切れます。

ネットスーパー・生協・宅配の使い方を残す

外に出るのが難しいとき、ネットスーパーや生協の宅配は大きな助けになります。

ただし、初めて使う人にはログインや注文の操作が難しいことがあります。普段使っているサービスのアプリの場所、ログイン方法、よく注文するものの一覧。この3点を残しておくだけで、いざというときに動けます。

生活の操作メモ④ 連絡先と連絡の順番

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「誰に」「何を」「どう伝えるか」まで書いておく

連絡先のリストだけでは不十分です。いざというときに必要なのは「誰に」「何を」「どの順番で」伝えるか、という手順です。

たとえば「まず子どもに連絡する。入院が確定してから親戚に知らせる。近所への報告は退院してから」。このくらいの順番を書いておくだけで、気持ちが動揺していても動けます。すぐ知らせる人と、落ち着いてからでいい人の違いが分かっているだけで、頭の整理がずいぶん早くなります。

電話が苦手な人にはLINE文例も残しておく

電話が苦手な方、あるいは気持ちが動揺して声が出ないような状況では、LINEやメールの文例が助けになります。

「○○が入院しました。詳しくはまた連絡します」くらいの一文でよい。あらかじめ文例があれば、気持ちが落ち着かないときでも送ることができます。コピーして送るだけでいい状態にしておくのが理想です。

妻しか把握していない親戚づきあいを、最低限だけ共有する

妻の頭の中には、夫が知らない「暗黙のルール」が何十年分もたまっています。

「お盆には必ず○○おばさんに電話を入れる」「法事のあとはこのお菓子を持っていく」「あちらの家には先方より先にお見舞いを送る」。夫からすれば想像もつかないルールが、妻にとっては「当たり前のこと」として積み重なっています。

夫にすべてを覚えてもらう必要はありません。「困ったときは妻の姉に聞く」「この一覧がこの引き出しにある」。そう言えるだけで、大きな失礼は防げます。

生活の操作メモ⑤ ペットの世話

エサ・トイレ・動物病院の情報を一枚にまとめる

ペットは「今日はごはんがまだだ」と自分では言えません。エサの時間になっても誰も来ない。水が切れていても知らせられない。そういう状況をペットに経験させないための準備です。

エサの種類、量、1日の回数、置き場所。トイレの砂の種類と交換の頻度。動物病院の名前と電話番号、診察券の場所。これを一枚の紙にまとめておくと、もし誰かにお願いするときもスムーズです。

緊急時に預けられる人と場所も決めておく

夫婦が同時に動けなくなることもあります。そのとき、ペットを預けられる人や場所を、あらかじめ決めておきましょう。

知人でも、ペットホテルでも構いません。「いざとなればここに頼める」という選択肢が一つあるだけで、いざというときの安心感がまったく変わります。

生活の操作メモ⑥ 通院と薬

「本人管理」でも、場所と連絡先だけは共有する

通院や薬は、基本的に本人が管理するものです。処方内容や飲む量の判断は、本人と医師に任せるのが正しい。

ただし「どこの病院に通っているか」「どんな薬を飲んでいるか」「お薬手帳はどこにあるか」の3点だけは、共有しておく必要があります。救急搬送されたとき、この情報があるかないかで、医師の対応がまったく変わります。

お薬手帳・診察券・保険証はどこにあるか

お薬手帳、診察券、健康保険証(あるいはマイナ保険証)の置き場所を、お互いが把握しておきましょう。

私自身、妻の診察券がどこにあるかを把握しているのは、送迎で病院に行くことが多いからです。でも自分のものがどこにあるかを妻に伝えているかというと、きちんとできていなかった、と気づいたことがあります。置く場所を決めて、そこに必ず戻す。これだけで、いざというときに探し回らずに済みます。

送迎が必要な通院は「代替手段」も書いておく

夫が妻の通院を車で送り迎えしている家庭は多い。でも、夫が入院したとき、その送迎がなくなります。

タクシーの電話番号、介護タクシーの予約方法、バスのルートと乗り換え、頼める家族や知人の連絡先。いずれかを事前に調べてメモに書いておくだけで、当日に慌てずに済みます。通院当日に初めて調べるのでは、精神的な負担がとても大きくなります。

作ったメモが「本当に使えるか」を確認する

夜中2時にパニック状態でも見つけられるか

メモが完成したら、一つだけ確認してください。「夜中2時に、救急車が来た直後の状態で、このメモを見つけて使えるか」。

メモがどこにあるか分からない。字が小さくて読めない。どこから見ればいいか分からない。そういうメモは、存在していても使えません。

見つけやすい場所に、見やすい文字で置いておく。それだけが、本当に大切なことです。

紙で残すか、デジタルで残すか

紙は電源が不要で、誰でも見られます。デジタルはスマホさえあればいつでも確認できます。

どちらでも構いません。ただし紙なら「置く場所を固定する」、デジタルなら「開ける人を事前に決めておく」。この一点だけは、どちらを選んでも守っておきましょう。

なお、紙のメモをスマホで撮影して保存しておくのが、現実的には一番使いやすい形です。

夫婦で話すときの切り出し方

「あなたが倒れたら困る」ではなく「私がいなくても困らせたくない」から始める

「あなたが倒れたら困る」という言い方は、相手を責めているように聞こえます。「縁起でもない」と拒否されることも少なくありません。

それより「私が入院したとき、あなたに困らせたくない」という言い方の方が、相手も受け取りやすくなります。心配しているのは「自分がいなくなるかもしれないこと」として伝える。そのひと言が、話し合いの入り口を変えます。

全部を覚えてもらう必要はない。最低限だけ共有する

相手にすべてを覚えてもらおうとすると、話し合いが重くなります。「メモがどこにあるか」「最初に誰に連絡するか」この2点だけを覚えてもらえれば、あとはメモを見ながら動けます。

ハードルを下げることが、話し合いを続けるコツです。

1日で完成させなくていい。まず15分から始める

最初は「困ることリスト」だけ書けばよい

最初から完璧なメモを作ろうとしなくて大丈夫です。まずは紙1枚に「夫がいないと困ること」「妻がいないと困ること」を箇条書きにするだけで、十分なスタートです。

「書いた」という事実が、次のステップへの動力になります。

写真で残せるものは写真でよい

家電のシール、お薬手帳の表紙、動物病院の診察券。スマホで撮って保存しておくだけで、長い説明文の代わりになります。すべてを文章で書く必要はありません。

月に1回、5分だけ見直す

暮らしは少しずつ変わっていきます。薬が変わる、連絡先が変わる、契約サービスが変わる。月に一度、5分だけ見直す習慣をつけておくと、メモが「使えない状態」になるのを防げます。

カレンダーに「メモ見直し」と書いておくだけで、続けやすくなります。


記入用テンプレートを無料でダウンロードできます

この記事でお伝えした「生活の操作メモ」を実際に作り始めるための記入用テンプレートを、無料でご用意しました。

印刷してすぐ使える6枚構成です

  • 1枚目:夫がいないと困ること
  • 2枚目:妻がいないと困ること
  • 3枚目:ペットの世話
  • 4枚目:通院・薬・保険証
  • 5枚目:緊急連絡先と連絡の順番
  • 6枚目:もしものとき 最初にすること
💡 無料ダウンロード
印刷して手元に置いておくと、ご家族との共有もスムーズです。

今日の暮らしが整ったら、その先の準備へ

「3日いなくなっても家が回る」状態が整ったら、次のステップがあります。

生活の操作メモが「今日の暮らしを止めない」ためのものだとすれば、エンディングノートは「将来、家族を迷わせないための記録」です。資産の場所、医療の希望、介護のこと、デジタル機器の引き継ぎ。今日の暮らしが整った方が、その先のことも自然に考えられるようになります。

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