「自分が突然倒れたら、残された家族は私のネット銀行を見つけられるかしら?」
そんなふうに、ふと不安になることはありませんか?
楽天銀行やSBI証券など、最近の便利なサービスは「通帳」がありません。あなたに万が一のことがあったとき、ご家族はその存在にすら気づけないかもしれないのです。
でも、どうぞご安心ください。完璧にやる必要はありません。今日からできる「たった1分」の準備が、ご家族を大きなトラブルから救う最高のプレゼントになります。
1. なぜ今、準備が必要なのでしょうか?

「見えない資産」をそのままにしておくと、残されたご家族が困ってしまう3つの大きな理由があります。
- 税金のペナルティを避けるため:ネット口座が見つからず相続税の申告が漏れると、後から「延滞税」などの重い罰金がかかってしまうことがあります。
- 家族の仲を守るため:全部の財産を分けた後に新しい口座が見つかると、遺産分割の話し合いを最初からやり直さなければならず、ご家族の大きな負担になります。
- 大切なお金を守るため:株やFXが放置されると、市場の動きで損がふくらみ、マイナスの財産を引き継がせてしまうリスクがあります。
これらは、今からお伝えする「ちょっとしたメモ」だけで、すべて防ぐことができるのです。
2. 「たった1分」から始める!かんたん3ステップ
まずは「ログインできる状態」にするより先に、「どこに口座があるか」を家族に知らせることから始めましょう。
【ステップ1】スマホのパスワードを「秘密のカード」にする(30秒)

スマホさえ開ければ、ご家族は多くの手がかりを見つけることができます。
- 名刺サイズの厚紙にスマホのパスワードを書きます。
- その上からセロテープを貼り「修正テープ」を3回ほど重ねて隠してしまいます。
- これをお手製の「スクラッチカード」として、通帳や金庫に保管してください。
家族への魔法のフレーズ:「正月に集まったとき、『スマホのパスワードをここに隠したから、私が倒れたら削ってね』と一言伝えるだけで安心ですよ」
【ステップ2】口座の「名前」だけをリストにする(30秒)
銀行の手続きにパスワードは不要です。「銀行名」さえわかれば、ご家族は正式な手続きができます。
| 項目 | サービス名 | 種類 | 連絡先 | ひと言メモ |
|---|---|---|---|---|
| 書き方の例 | 〇〇銀行、〇〇証券 | 普通預金、NISAなど | 公式サイトの電話番号 | 「給与が入る」など |
※ ここまでで、基本の準備は十分です。ですが、「書類をなくしたらどうしよう」「万が一、だれかに見られたら不安」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そうした方向けに、情報を2つに分けて保管する『番号方式(分散保管)』という方法もあります。これは「必ずやるべきこと」ではありません。ご家族が困らないことを最優先にしたうえで、さらに安心したい方だけが選ぶ方法です。
【ステップ3】「宝探し」の感覚で口座を見つける
「どこに口座があるか忘れてしまった」というときは、以下の順で探すとスムーズですよ。
- 支払い明細:カードの利用明細に、知らない銀行の名前がないか確認します。
- スマホのアプリ:画面にある銀行や証券会社のアイコンが、大きな手がかりになります。
- メールの検索:銀行からのお知らせメールが届いていないか探してみましょう。
3. スマホの「自動引き継ぎ機能」をセットしましょう
AppleやGoogleには、万が一のときにご家族を助けてくれる便利な機能があります。一字一句、この通りに進めれば大丈夫ですので、ぜひ試してみてください。
iPhoneの方(Apple)
- 「設定」アプリを開く → 自分の「名前」 → 「サインインとセキュリティ」 → 「故人アカウント管理連絡先」 から、信頼できるご家族を選んでください。
Androidの方(Google)
- 「Google設定」 → 「データとプライバシー」 → 「その他のオプション」 → 「デジタル遺産に関する計画を作成」 (アカウント無効化管理ツール)から設定できます。
4. 安全のために「これだけはしないで」という注意点
⚠️ パスワードを何度も間違えないで!
焦って何度もパスワードを打ち込むと、口座が凍結されて(使えなくなって)しまいます。解除するには大変な手間と時間がかかり、相続の手続きが何週間も遅れてしまいます。
⚠️ パスワードは日常的に教えない!
ご家族であっても、パスワードを教えて自由にお金を動かせるようにしてしまうと、後で親族間のトラブルになりやすいので注意しましょう。
⚠️ 「紙」と「スマホ」を上手に使い分けて!
すべてをネット上に保存するのは、情報が漏れてしまうリスクがあります。大切なパスワードは「紙」に書いて、物理的に保管するのが一番安心です。
5. よくあるご質問(Q&A)
- Q:何歳から始めるのがいいの?
- A:ネット銀行を使っているなら、年齢に関係なく今日から始めるのがおすすめです。突然の事故などは、だれにでも起こりうるからです。
- Q:家族に「終活」だと思われて心配させたくない……
- A:「スマホが壊れたときのバックアップ用だよ」と伝えれば大丈夫です。実際、このメモは普段の生活でもとても役に立ちますよ。
- Q:パスワードを教えなくても家族はお金を引き出せる?
- A:はい。銀行の名前さえわかれば、戸籍謄本などの正式な書類を出すことで、ご家族はちゃんとお金を受け取ることができます。

まとめ:今日から始める「次の一歩」
デジタル終活は、一気にやろうとすると疲れてしまいます。今日やることは、これだけです。
小さな紙に「スマホのパスワード」と「使っている銀行名」を書いて、通帳と一緒に置いておく。
これだけで、あなたの愛情はしっかりとご家族に伝わります。少しずつ、できることから始めていきましょうね。
ご家族が迷わず手続きを進められるよう、大切な情報を1枚にまとめた「デジタル資産の見える化チェックリスト」を作成しました。
詳細な図解入りPDFと共にダウンロードして、このページを印刷し、手書きで記入して、通帳や印鑑などと一緒に大切に保管してください。
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