国立高度専門医療研究センター6機関の連携による「健康寿命延伸のための10の提言」

それぞれに専門性を有する国立高度専門医療研究センターである国立研究開発法人国立がん研究センターと国立研究開発法人国立循環器病研究センター、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター、国立研究開発法人国立国際医療研究センター、国立研究開発法人国立成育医療研究センター、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターは、日本人の健康寿命延伸のために必要な予防行動等について、個人とそれを取り巻く社会的要因に関する目標を「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言」としてまとめました

健康寿命は、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱して以来、単に寿命のみでなく健康寿命をいかに延ばすかについて関心が高まっています

近年、日本人の寿命は、平均寿命は男性が78.07歳(2001年)から80.98歳(2016年)へ、女性は84.93歳(2001年)から87.14歳(2016年)へ、健康寿命は男性が69.40歳(2001年)から72.14歳(2016年)へ、女性は72.65歳(2001年)から74.79歳(2016年)へと平均寿命も健康寿命も延びています

平均寿命と健康寿命の差は、日常の制限のある「不健康な期間」を意味しますが、この不健康な期間は男性では8~9年、女性では12~13年と横ばいで推移しており、大きな改善はありません、健康寿命延伸のためには、この不健康な期間をどれだけ減らすことができるかが鍵となります

健康寿命延伸を疾患予防の側面から考えると、単に、疾患を個別に予防するのではなく、様々な疾患を横断的にいかに予防できるかがとても重要になります

1. 喫煙

  • たばこは吸わない
  • 他人のたばこの煙を避ける

たばこを吸っている人は禁煙する。また、他人のたばこの煙を避ける

2. 飲酒

  • 節酒する。飲むなら節度のある飲酒を心がける
  • 飲まない人や飲めない人にお酒を強要しない

飲む場合は、1日あたりの飲酒量は、男性でアルコール量に換算して約23g程度(日本酒なら1合程度)、女性はその半分に抑える。休肝日を作る。寝酒は避ける。飲まない人や飲めない人にお酒を強要しない

3. 食事

  • 食塩の摂取は最小限(注1)に
  • 野菜、果物の摂取は適切に、食物繊維は多く摂取する
  • 大豆製品を多く摂取する
  • 魚を多く摂取する
  • 赤肉(注2)・加工肉などの多量摂取を控える
  • 甘味飲料(注3)は控えめに
  • 年齢に応じて脂質や乳製品、たんぱく質摂取を工夫する
  • 多様な食品の摂取を心がける

(注1)男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満(厚生労働省日本人の食事摂取基準)

(注2)赤肉:牛・豚・羊の肉(鶏肉は含まない)

(注3)砂糖や人工甘味料が添加された飲料)

年齢に応じて、多すぎない、少なすぎない、偏りすぎないバランスのよい食事を心がける。具体的には、食塩の摂取は最小限に、野菜・果物は適切に、食物繊維は多く摂取する。また、大豆製品や魚を多く摂取し、赤肉・加工肉などの多量摂取を控え、甘味飲料の摂取は控える。年齢に応じて脂質や乳製品、たんぱく質摂取を工夫する。多様な食品の摂取を心がける

4. 体格

  • やせすぎない、太りすぎない
  • ライフステージに応じた適正体重を維持する

ライフステージに応じて、体格をその時々の適正な範囲で維持する

5. 身体活動

  • 日頃から活発な身体活動を心がける

日頃から活発な身体活動を心がけ、現状より1日10分でも多く体を動かすことから始める。具体的な身体活動量の目安は、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分行い、その中に、息がはずみ汗をかく程度の運動が1週間に60分程度含まれるとなおよい。また、高齢者では、強度を問わず、身体活動を毎日40分行う

6. 心理社会的要因

  • 心理社会的ストレスを回避する
  • 社会関係を保つ
  • 睡眠時間を確保し睡眠の質を向上する

心理社会的ストレスをできる限り回避する。孤独を避け、社会関係を保つ。質の良い睡眠をしっかりとる

7. 感染症

  • 肝炎ウイルスやピロリ菌の感染検査を受ける
  • インフルエンザ、肺炎球菌を予防する

肝炎ウイルスやピロリ菌の感染検査を受け、感染している場合には適切な医療を受ける。高齢者では、インフルエンザ、肺炎球菌のワクチン接種を受ける

8. 健診・検診の受診と口腔ケア

  • 定期的に健診を・適切に検診を受診する
  • 口腔内を健康に保つ

定期的に健診を受ける。科学的根拠に基づいたがん検診を、厚生労働省の指針(注4)で示された方法で受ける。口腔内を健康に保つ。

(注4がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針)

9. 成育歴・育児歴

  • 出産後初期はなるべく母乳を与える
  • 妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、巨大児出産の経験のある人は将来の疾病に注意する
  • 早産や低出生体重で生まれた人は将来の疾病に注意する

出産後初期はなるべく母乳を与える。妊娠中に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群にかかった人や巨大児出産の経験のある人、早産や低出生体重で生まれた人は将来の疾病に注意する

10. 健康の社会的決定要因

  • 社会経済的状況、地域の社会的・物理的環境、幼少期の成育環境に目を向ける

個人の不健康の根本原因となっている社会的決定要因にも目を向け、社会として解決に取り組む

あたり前のこと

特段目新しいことは何もありません、これまで言われてきた「あたり前のこと」を日常心がけていかに出来るかと言うことに尽きると思います

自分に出来ていないところを書き出して、目に付くところに貼っておくとかして、常に心がけて健康寿命をいかに長くするかを心がけたいものです

(Via 国立がん研究センター.)

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