はじめに
相続登記(亡くなった方の土地や建物の名義を変える手続き)を実際に経験してみて、強く感じたことがあります。
「故人が情報を残してくれていたら、どれだけ楽だったか」
戸籍謄本(こせきとうほん)を取りに行こうとしても、本籍地(ほんせきち)がわからない。権利証(けんりしょう)がどこにあるかわからない。相続人(そうぞくにん=財産を受け取る人)が何人いるのか、すぐには答えられない。
こうした「情報の空白」が、遺族の時間と労力をたくさん奪ってしまいます。
逆に言えば、エンディングノートに必要な情報を書いておくだけで、相続登記の負担はぐっと減ります。この記事では、相続登記を経験した視点から「書いておくべき情報」を具体的にリストアップしてご紹介します。
👉 実体験の詳細はnoteの連載で紹介しています
70代夫婦が相続登記に自力で挑戦してみた(note)
なぜエンディングノートが相続登記に効くのか

相続登記の手続きで必要になる情報は、大きく3つです。
- 故人自身の情報(本籍地、住所の変遷など)
- 不動産の情報(所在地、権利証の保管場所など)
- 相続人の情報(誰が相続人になるか、連絡先など)
これらは「知っていれば当たり前のこと」ですが、いざ遺族が調べようとすると、意外なほど時間がかかります。特に本籍地は、何度も転籍(引っ越しなどで本籍地を変えること)を繰り返した方だと、本人にしかわからないケースもあります。
エンディングノートはこの「情報の橋渡し役」として力を発揮してくれます。
相続登記のために書いておくべき情報【全リスト】

① 自分自身の基本情報
| 項目 | 書いておく内容 |
|---|---|
| 現在の本籍地 | 都道府県・市区町村・番地まで正確に |
| 過去の本籍地 | 転籍した場合はすべて記録 |
| 住所の変遷 | 引っ越しの履歴(戸籍と照合が必要な場合があります) |
| マイナンバーカードの保管場所 | 手続きで必要になる場合があります |
なぜ必要なのか:
戸籍謄本は「出生から死亡まで」をすべて集める必要があります。転籍があると複数の市区町村から取り寄せることになり、本籍地がわからないと請求すらできません。
② 不動産に関する情報
| 項目 | 書いておく内容 |
|---|---|
| 所有している不動産の所在地 | 住居表示ではなく「地番(ちばん)」で記載 |
| 家屋番号 | 固定資産税の納税通知書に記載があります |
| 登記識別情報(権利証)の保管場所 | 「〇〇の引き出しの中」など、具体的に |
| 固定資産税の納税通知書の保管場所 | 毎年届く書類です。捨てずに保管しましょう |
| 不動産を購入した時期・経緯 | 共有名義(複数人の名義)の場合は特に重要です |
なぜ必要なのか:
「権利証がどこにあるかわからない」は相続登記でよくあるトラブルです。なくても手続きは進められますが、探す時間と労力がもったいないです。
実体験からのポイント:
私たちの場合、権利証は見つかりましたが、納税通知書をどこにしまったか一時わからなくなりました。書類の保管場所を一か所にまとめておくことと、その場所をノートに書いておくことの両方が大切です。
③ 相続人に関する情報
| 項目 | 書いておく内容 |
|---|---|
| 法定相続人の一覧 | 氏名・続柄・現住所・連絡先 |
| 認知した子どもの有無 | 正確に記録しておきましょう |
| 養子縁組の有無 | 養子も相続人になります |
| 相続人に外国籍の方がいるか | 手続きが複雑になるため、事前に把握しておきましょう |
なぜ必要なのか:
相続登記では「相続人全員の同意」が必要な場面があります。誰が相続人なのかを正確に把握していないと、書類集めの段階でつまずいてしまいます。
④ 専門家・関係先の情報
| 項目 | 書いておく内容 |
|---|---|
| かかりつけの司法書士・弁護士 | 氏名・事務所名・連絡先 |
| 不動産会社の担当者 | 購入時のやり取りがある場合 |
| 信頼できる相談先 | 困ったときに家族が頼れる人 |
なぜ必要なのか:
自力での相続登記が難しい場合、専門家に依頼することになります。連絡先をまとめておくと、家族がすぐに動けます。
⑤ 遺言・意思に関する情報
| 項目 | 書いておく内容 |
|---|---|
| 遺言書(いごんしょ)の有無 | 自筆証書遺言・公正証書遺言の別 |
| 遺言書の保管場所 | 法務局での保管制度も活用できます |
| 不動産の分け方の希望 | 法的な効力はありませんが、参考情報として役立ちます |
デジタルエンディングノートのすすめ

紙のエンディングノートも良いですが、デジタルで管理するとさらに便利です。
- 更新・修正が簡単(住所変更などにすぐ対応できます)
- 家族と共有しやすい
- キーワードで検索できる
- 写真や書類のスキャンデータも一緒に保存できる
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書くタイミングは「元気なうち」がベストです

エンディングノートは「死を意識したときに書くもの」と思われがちですが、実際には情報が正確にわかる、元気なうちに書くのがベストです。
認知症や体調不良が進んでから「本籍地はどこだったっけ?」「権利証はどこにある?」と探すのは、本人にとっても家族にとっても大変なことです。
「もしもの話をするのは縁起が悪い」ではなく、「家族への最大の贈り物」だと私は思っています。
まとめ
- エンディングノートに書いておくと相続登記がスムーズになる情報は5つのカテゴリに分かれます
- 特に「本籍地」「権利証の保管場所」「相続人の一覧」は必ず書いておきましょう
- 書くなら元気なうちに、できればデジタルで管理するのがおすすめです
- 実体験の全記録はnoteの連載で公開しています